言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年2月28日火曜日

オアシスの方へ

殺伐としただだっ広い荒野に
跳ねるウサギがうずくまっている
あまりに陽射しが強いので
動くことが億劫なのである
南中の日差しは
もうよしてくれなんて
解毒にも
消毒にも
役にたつのに
素知らぬ顔して
熱対流を起こすのにいそしむ
「よろず、雑事、請け賜ります」なんて石油燃焼エンジンの四輪車が
スピーカーアンプ音量最大にして荒野、轍、排気ガス、砂塵
「エアコン、取り付け、
テレビ、引取り、
アンテナ、工事、
くつかさかばん、修理、
エイのひれ干し、
侍、鬢づけ、
メッカ、拝礼、
脱毛、耳垢、ゴマ取り等
お安く、丁寧に」

幾尽もの星霜を超えて
お許しになるまで
駆けつけます
駆けつけているところです
お許しになられた暁には
兵糧攻めの無期限サービスもさせて
いただいて
をります

ウサギ、跳ねた、未知の素粒子、胴の3倍もの長さの尻尾、オアシスのある方向へ
どんな顔したらいいのかわからない笑みは、ご愛嬌
轍とはあべこべな方向へ、あしあと

2012年2月25日土曜日

熾火が残っているなら


「熾火が残っているなら」

青い森

にキノコとキノコの妖精が

書き留めておいてくれたこと

苔深く密

になり

呼吸と共に蒸気が霧

となり

雨も降らないくらい枝々

のびおり

折重なり

しなだれている

市場に売りとばされた

ボトルシップ

水際

密集した木々は互いのちぐはぐな成長過程をお互いうらめしく思い

大樹の影の元からのびる一軒の木コリの住む家へと向かう道

親愛なる木コリ様今日もこちらの森の中はじめじめしております。わたしたちのもりのことです。わたしは元気です、長老が吐血しました。それだけです。そちらの森は降っていますか?それとも曇っていますか?そのどちらか以外ですか?このあいだのひどいあめが降ったときをおぼえていますか?そうです。あのロクでもないどうしようもないほどに破滅的な雨の日のことです。木コリさんはお留守だったので町へ出かけているのかしらと思いながらちょいと雨宿りをさせていただきました。ありがとう。ついでに熾火で体やら背中やらボウシを乾かさせてもらいました。ありがとう。そちらの森の水は甘くてやわらかかったです。あんまりキノコをとらないあなたのシチューのことです。ありがとう。
もうひとり(緑のボウシじゃぁないほうです)よろしくといって今猫を探しているところです。このへんで、ではまた雨の日か雨じゃなくて曇っている日かどちらかに行くと思います。

野犬は役に立たないので町に返し

気分的に表情が忙しく変わる2人のどっちがどっちなのだろうか

果たして

森には木があるから

木コリには困らない

屋根の下で辛抱強く乾かしていくことによって

たきぎ

になり

童話のように神妙な顔つきで講釈をたれる樹のお化けなんかいないので助かる

無口だから

できれば雉鳩にもその嗜みを身につけてもらいたいものだ

うるさいから

森にいる限り

こうして不意に便りがきたり

月夜

みえないけれども

にはヨダカ

夏には蛙

がうるさい

木は十分にある

町に出て女が抱いている子どもが木コリになるという夢を度々みる

その子の分も十分ある

その子が町で女の子どもをもらったとして

例えばだけれども

子の子の分まで十分ある

その先は

わからない

えてしてこの熾火を絶やさなければ

樹の油で黒くてかった煤だらけの天井をみて眠られれば

あと牛乳と煙草を買うために湿った分厚い苔の上を歩く

忍耐

があれば

木コリになれる

明日も早い

カケイがうるさい

空気が煙っている

町で買ってきた丈夫なシャツにリボンを縫いこんだ

子どもの頃みた少佐を真似た

棚には名前を知らない固くて食べられなかったキノコ

手になじんだ手斧


大きめの斧

埃をかぶった瓶のモノは船だった

塩のスープと小鳥を干したいくつか

黒くて硬いパン

満足げに深く呼吸している木コリを

瞼閉じさせるもの

深く青い森の生き物たち

うかがっていた夜だった

・・・

旅路道すがら


寂寥感かな
叢の中には豹だって
スーパーノヴァ
きーっごっごっごっきぃーっごっ

路望脚々
託は鉢
にぎりこぶし

その可決なんでね
距離をとって
脱出ポッド投下
ぶ。ぶぶ、っぶぁしゅっ

中身の見えないツボに
幾重もの腕
富と虚栄の街
水出し紅茶から

無分別
無作為
無遠慮
法ったヒトが設立

余った土地を許さない風習

2012年2月13日月曜日

「狗ニ名ヲツケル」雑感

「狗に名をつける」
という劇詩を書いた。

校内全体の掲示板仮デザインのチラシを貼った。期限切れの雑多な他所の団体のものは回収しながらだったので事の成りゆきをわかっていないものから顰蹙をうけた。困ッタモノダ。

数多いるネコのなかで家では二匹(シロとクロ近親)だけが足元で認知し上向いた。機嫌がいいときは上向いてさらに鳴いた。草臥れてかえった夜半には心が動いたものだった。うまく調子があわないときには、無雑作に毛をまさぐられるのが嫌だからか一定の距離を量った。
概ねネコとよばれるモノタチそれぞれがそれぞれの外見(三毛だの縞だの)を身につけ彼あるいは彼女ら性分か後天的経験則のどちらかを自我としている。当然だがそれが個体だから春が好きだったり湿った固形食物は喰わんとか若年性アルツハイマー症におびえて神経衰弱に陥ってしまったり文学はモーパッサンをこのんでいるモノタチetcetc・・・
「かもめはかもめ」と謡ったのはヒトですが
にゃーと鳴いたらにゃーと鳴きかえすものですかそうですか。他人の不幸を聞くのが嫌眼にはいるのも嫌どの文脈で不整脈が発するかわかったものじゃぁないので常にきんちょうしていなくっちゃぁわかんないから人差し指で蓋をする。三半規管に安らぎを聖地に向かって拝礼。独り無宗教なモノが立ち呆け。見まわすとそれぞれみんな別方向。ア、シマッタシマッテシマッタイワセタロー連合。今日はブラとパンツがバラバラだから駄目。今日は槍と陰茎ケースが黒サイでおしゃれ合格かも。統計論でた値はヒトは冬を楽しもうと雪を溶かしてみたり積もらせてみたりで躍起になってしまう。その上で平たくて細い板二枚つかったり幾分太い板のそれで雪の上を重力を利用しながら下る。ふりむけばいっぱい過ぎるくらいのすべり跡。つわものどもかしらどうかしら?
狗(多くの愛犬家様方にはお詫びします)はかつて狼だった。森にはいる幼児や視力が萎えたモノタチ
のヒトらしい臭いが好物だった。姿勢を深く沈めて足裏の肉球で自らのたてる音を殺し獲物に近づいた。知恵のある雄を中心に風下からと逃げ道を塞ぐ若い衆に分かれてtarget保持。森はいっそう深く。声なき声を察知した手下どもは事前の予定通り動く。方々から草叢で音をたてるモノ。近づきつつやたらと吠えるもの。獲物がひるんで先を急ぐとたちまち寸前まで追いつくモノ。鋭敏さとよくよく磨がれた爪と耳鳴りの残る警告の声。完璧な作戦。振りかえったモノはまさか。ニヤリと笑った。ヒトが怖いヒトが怖い。ヒト・・・
決められた時間にトイレし歌を歌えといわれれば歌い地に伏せると撫でられる。いうことを聞く。
家族制手工業で貴方の元にかわいいワンちゃんをとのたまう文句。下記細かい仕様云々・・・梱包され出荷を待つ狗タチはじっと眼を閉じている。
稽古の終わりに連れと好みの焼き鳥屋で晩御飯。いつもより混んでいた。上着をぬいでから避けがちなカウンターしかあいていないことを確認し座った。飲み物が出てきて流れで乾杯。奥の座敷が滅法賑わっていた。その日はハズレだ。連れはタバコを呑んでいる。動員の目論見とOB確認。いつもと変わらない展開に目前、塩皮、ヅリ、椎茸と並ぶ。串から具を抜きながらハナス。おかわり。ちょっと高いけれども其処のネギマは旨かった。
次にはいってきた客が二人。中肉中背の色が黒いやつ。まだカウンターをつめろという。だから嫌だったんだ。「アレ?!みたよ?!チラシ!!」赤い上着のメガネがこっちにいきなり振ってきた。「カッコイイぜチラシッな!?」未見な男達のもとにも飲みモノが・・・流れで乾杯?「ミニ行くゼ?!ナッ!‘イヌになをつけろ‘ッ」・・・舞台専攻のやつらだった。つけろ。ドウトデモ呼ンデクレ。
彼らとに開いた海溝は深く静謐で永遠を思わせたのだった。

2012年2月9日木曜日

「手をつなぎたいとこだけど」


「ずっといっしょさ」

シャーベット、匙

いれたら

結晶

夢の中でもいっしょ

香りのはっぱが、ピクリ

常夏の国、風

香りがするから

手元の匙から

掬うから

醒めた夢から

午後のカフェ、混んで

耳ふたぐ

喉仏に鼓膜響き呼応

相槌

囁き耳朶呼気

動悸高まるのは心がここにいなくて浮ついているせいに

きづく

シャーベット、匙、芳香

拙い返事に気恥ずかしさ

ひととき

出ていくヒトはいるヒト

街路

人並みの背中

花の余韻「会計はいっしょで」甘い

恙無い一日をいっしょに

ささいな陽射しが心くるしい

2012年2月8日水曜日

愛しかたについて



愛し方について

カピバラは食用鼠

太平洋の波は大きくうねりまた凪

単独工の危険は承知のうえだと


ママンの作るパスタ

トマトソースのペンネ

野生のクレソン

ハラモのいちばん油ののった腹部

頚椎は思いのほか長い

中島みゆきの頚骨は一ヶ多い

しいたけはどこにでも生えるものじゃあない

人工だ

12.02.08 蟲

ずっといっしょさ


「ずっといっしょさ」

シャーベット、匙

いれたら

結晶

夢の中でもいっしょ

香りのはっぱが、ピクリ

常夏の国、風

香りがするから

手元の匙から

掬うから

醒めた夢から

午後のカフェ、混んで

耳ふたぐ

喉仏に鼓膜響き呼応

相槌

囁き耳朶呼気

動悸高まるのは心がここにいなくて浮ついているせいに

きづく

シャーベット、匙、芳香

拙い返事に気恥ずかしさ

ひととき

出ていくヒトはいるヒト

街路

人並みの背中

花の余韻「会計はいっしょで」甘い

恙無い一日をいっしょに

ささいな陽射しが心くるしい

分厚い手のひらにつつまれた

2012年2月7日火曜日

お気に入りの中華飯店

汗涙は塩分を排出する働きだ

ヒトの気配

駅前常緑綬ヒトさざめきビルの影にのみこまれる夕日の赤が

この世

言論

あぶくの渦に揉まれたならば

喚起湯気瀞み

咀嚼

太りたくないから愛だけを残された八宝菜

平皿のなかに盛られた見守られしかし食べ荒らされる定め

汝、言葉少

委ねられた掌のうえから調理が

清水で洗いざらされられたセロリとレタス

から光撥ねかえされた緑の艶張り

それ悉く

山を成す

手にしたメニューを捧げ崇高し

その名を告げる

放つ

讃ゆ

副菜

主のものに叫べ

今夕の証しとして

塩、胡椒、油、ネギ油、生姜、八角

魚醤、豆醤、ケチャップ、オイスターソース

元素、構成、分析、配合比

混雑

雑踏

のれん

の向こう

商店軒先

慎ましやかな会釈会話愛想笑い別れ

消化器液が分泌せられぐぅとなる

薄暗がりの灯の主だ

2012年2月6日月曜日

dodoitu


◎ 蒼天に駆けるペガサスだった。その想像上の生き物は凛として気高く、気品をたたえた鼻先だった。そのいく跡には光がはいり屈曲し放出されているのだった。水晶の結晶に光の筋が残った。頭上を優雅に舞うペガサス、高く嘶き誰かを祝福しているのであろうか?それにしてくるまったまま首だけ動かす。そこには毛足の短い筋張った動物の脚がみえ見上げると立派な臀部をもった馬だった。自分の枕元の鼻先に湯気を立てているのがそれだ。と、寝ぼけた悲鳴のような声が上がって寝袋で寝ていたのも忘れそんな状況から逃げようと悶え苦しみ、また、息を吸おうと鼻面だけ隙間から出たので思いっきり呼吸をすれば、なお糞くさい。生き地獄である。自分はその様子がら寝袋やらジャケットに馬の糞がついていないことを確かめ外気を吸おうと試みる、が早朝からの喧騒で怯えている子馬とその心優しい母たちも耳を立てて歯茎をむきだして威嚇している。地べたでもんどりうっている男の頭を膝頭で挟み込み、寝袋のジッパーをまさぐって引っ張りだして開けてやった。馬糞の添い寝から逃れられた彼は未だ理解できていないシチュエーションで大きく背伸びし、それでも臭う空気で深呼吸した。馬たちも薄闇の中ででかい男がなにやら威圧的な態度にでたので、一層混乱し逃げ惑いしかしながら繋がれている太一閃の朝日がたちまち溢れた「おめぇどもしずかにシレッ!!」しわがれた男の声だった。
 「ぅまっこドモこんなちじこぉんまぁんなつど?」
 逆光の中に現れたのは背中の曲った爺さんだった。
一頭一頭頭や体を撫でまわしながら「おら~ょおらぁ~よ」と声をかけている。成り行きでこのような事態に陥ってしまった申し訳なさからか大きな手で撫でようとする彼を「触るでねッ!!」請け合ってくれない。老人はひとしきり口の中で文句を言いながらさする。次第に馬たちも混乱から覚めてきたようだった。朝陽はフィルターを通したように白く小屋の中の土埃を照らしていた。鼻水の垂れたところに風が当たるとひんやりするが陽光は暖かくまだ醒め切っていない目蓋をもったりとあたためられて心地よい。「あにょぉ~おめえらぬっ」綱をほどきながらこちらを見ないでいう。「寝るだけだってガラん~だぁ~よすべかなぁ~つて」天井を見上げる。モゴモゴしている。勢いよくバネではじかれたように痰を吐いた。「ようするによこんな村におおぎぃ男二人だけで泊めてくだせってんもなぁ~よすべかなぁ~つてょ?」また宙、反動、痰「寝るとこだケサつて屋根と壁があればぃいつて」不意に老人は睨みあげて2人を交互にみる。その足元に痰を吐く。「もええが?寝るだけ寝たんろ?おれぁ馬ッコの世話あんどぅ、ナ、ホレ!!」今度は牧場のでかいフォークでこちらをつついてきて慌ててよけた。「イケ!イケ!忘れもんするんじゃねどっ!!」
意味を汲み取ったら急いで、それでも子馬を刺激しないように親とも目を合わせないように、散らばった荷物、剥き出しのままの寝袋や撮影機材、地図などを一纏めにして駆け出た。「おらょお~ちゃっちゃといけぇ!!」背中に聞こえる爺さんの声が野原に響いた。雲雀が飛んだ。
番組制作会社に勤めている。勤めて2年か3年だ。大きな会社の企画書を漁ってそのおこぼれにあやかっている。面倒だけどある部分さえ乗り越えたら楽に通せるものやどうしようもない屑だけど土台をテコ入れしたら体裁が整うものあとは捨て企画と昔の企画の焼き回し、ローカル局のパクリ、パクった番組の裏番組の企画。要するに誰もやらない誰もやりたがらないものの孫受け零細自転車人情仕事だ。仕事?概ね賃金をもらう体を使った労働をそういうのだろう。軍役に近いかも知らない。生き残るのは前線に行かなかったものだけだ。これ?これは最前線だ。