言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2011年10月28日金曜日

はじまりのおわり

肩甲骨がずれる音

シマス

ノラ猫が食事をあさる街角で数匹

イマス

ゆったりとあしをもつれらせながら酔ヒト歩く

キマス

遠ざかる煩いマフラーのベンツ

イキマス

森の中で少ない陽射しで生えた広葉樹ニョキリ

ノビマス

作った巣をカッコウに奪われました雛は

イマシタ

神社の境内から仰ぐ空に雲は筋交い風が

フク

亜熱帯の壺を売るヒトが膝まで水につかりため息を

ツク

乾燥した砂原を中古のスーパーカブが走り鼻歌

スサム

キリンの首は伸びるし河馬は沼に浸かったままだ

飲んで良い水



いけない水

は明白だ

空が赤く染まる頃にはフラミンゴたちが群れをなし片足で

(片足?二本ある方の一方つまりは右か左かだ)やがて眠りにつく

河だと思っていたものが大地の裂け目であったり

断層だと思っていたものが他の平原で全然別の生物形態お猿尾の長いお猿声の大きなお猿声が大きくて尾が短いお猿

失礼

銭湯が締まる時間だ

上着だけ羽織って

キッチリ銭湯代とフルーツ牛乳2本分小銭を持つ

深い宵の街外れへと

アルク

吹き抜ける風に震え肩を寄せて

クル

シャンプーの匂いが

カオル

肩甲骨がずれる音

スル

大地は

ウゴイテイル

2011年10月26日水曜日

政治だの法だの怪しい壺だの

生きてゆく 返しきれないたくさんの恩を鞄につめて きちんと

私信;哀しいのは失ったからじゃぁない
その御声からあらたな詩が生まれるることがない真実に気づかされた深淵を覗いてしまったからだ

*****

背負うモノ 痛みをわかっているんだから
年老いた猫の分も
可能性なんだから

実際の人格的許容量が
誰かの笑顔を惹きつけた
夕べに鳥肌が立つショッピングモールの前で

どうだろう
死をお定義するなんてことほど
傲慢なegoism
許せる?

夭折の歌い手なんて
とんでもないスターなんだから!!
だってさ
あの子らぜってぇ歳とらないんだかんね!!


の方向がかわりました
湿り気を帯びて
貴方のことを思い出します
最後の

2011年10月18日火曜日

時代語り「お役所供養」

点勝という上方の落語家がいまして

屋号わ今わなき文字屋

太融寺での定例寄せもまずまずのヒト入りで

3番弟子である点勝の今日のお題わ

「お役所供養」

出番の1刻まえどきにちょっと小料理屋に寄って「腹へりましたわぁ~」

大将「ほんならかつお節ご飯でもだしましょか?」

「あほぃいな大の男がそんな通りの猫みたいなもんぅれしそうに食べるかいな」

大将「ほんなら板わさですか?ワサビじょうゆでちょっとつけて」

「素うどんの飾りみたいなもん食わん年中祭り屋台ねりまわしとんと違いますで」

大将「じゃぁどうしまひょか」

「堂島わ4町ほどあるいたところにある」

大将「知ってますほんならいつもどおりのメザシと卵かけご飯と温燗2合」

腰掛の前に次々でていく品何も言わず銚子に口をつける点勝

というやりくりが毎日続いているのである

空いたままのまぐちから通りの足音が聞こえてくる

どうやら相当いそいでいるようで「コラッ!」やら「あんたっ!」とか「ひゃっ」とか聞こえてくる

そのたびにスンマヘンスンマヘンスンマヘンとぺこぺこしながら近づいてくる

でその間口に現れたのわ弟子の小山椒いききらせながら

小山椒「す,すんまへん!!師匠!!あのあのあのあののののの」

「やかまし!ただでさいまずい飯がもっとまずなるっ」

大将「えらい血相やなどないしたんやとりあえず水飲み」
・・・
大将「ええ飲みっぷりやなもう一杯飲んどき」
・・・
大将「そうかそうかうめぇかもう一杯」
・・・
大将「もう・・・」

小山椒「もうお腹いっぱいでんがな!!」

「でどうした?」

小山椒「三代目松正師匠が寄せにいらっしゃってくだらんくだらんぃいながら取り巻きのもんと最前列に鬼の形相して越し据えとるんですわどうしましょう師匠」

「・・・お前の出番わ?」

小山椒「緊張してカチコチなってさっぱりわやですわ・・・」

大将「そないに泣きないな手ぬぐいワ商売道具やろ」

「こないだ天満の寄せで隅っこで立ち小便してたんがバレたんかなぁ・・・松正め小細工しよって」

小山椒「火に油注いだんわ師匠ですか!?」

「いやいやほんまわ真打なってから100回めやったからお祝いに花こうていったんやけえども」

大将「あんたら犬猿の仲やのにな」

「楽屋に顔出して挨拶したらありがとうもうんともすんともぃいよらんから」

大将「子どもの喧嘩よりタチ悪い」

「花屋にいって仏花送らせたった」

小山椒「山椒兄さんも一味姐さんもなんともならんから師匠呼んでこいっいうて」

大将「今からいっても喧嘩日どなるだけですょ」

「大将!!」

大将「僧正にいうてこさせましょか?」

「そんなしちめんどくさいことするかいな、大将よぉ磨いだ出刃一本貸してくれそれを晒しでこの手にぐるぐる巻きにしてくれ」
・・・
大将が歯ぁガタガタ言わせながらぎっちょの手で酒を煽るように飲む点勝

結局半升ほど飲んだあと
「つけにしといてくれ」
小山椒も意味も分からず深々と頭下げて暖簾を上げて師匠についていく
「ほないってくるわ」
・・・
「と歩いてここまで戻ってきたんですがどうりでみなさん辛気臭い顔しとる
寄せという場わわろうてもうてナンボのところやからオベントもってじっとしとるうヒトいうのわ
よほどの変わりもんかお役所のお堅い方が偉いさんの通夜とまちごうてきたかしたはる
今日わそんな風にうまいこと供養でけるかどうかわからんけれども・・・

・・・
文字屋松正一行そろそろと身をかがめながら座敷の間を出ていった