言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年3月30日金曜日

ちっちゃな頃から死んでいた


タイトルからして
大昔の端正な純愛小説かと思ってましたが
実際は、コバンザメ運動華やかな頃の知識人の苦悩を描いた政治的小説でした
構造不況だ の
資本の論理だ
一昔前なら古めかしく思えた主題が今は再びリアリティを帯びているのは
日本の不幸なのでしょう
蟹工船と同じく、提起された問題 はリアルでも作品の示す解にはもう力はない。
どころかいかにしてキレイを保ったままでさらなる能率化を量られ
問題提起をする心の余分などを残されないほど、労働、お疲れ様です

聖人なら知っている転がる石は摩耗するものだと


でもですね、
ぶっちゃけた表現すれば、
金儲けのためなら日本を見捨てるよ&外国人を低賃金 で奴隷労働させるよ&下々の日本人は路頭に迷って野垂れ死んでも仕方ないよーってことでしょ。
ホンネの部分はともかくとして、
日本ならびに地域を代表する 大企業トップが堂々と言ってのけ(まるで民主党や、
民主党に票入れた国民への恫喝ですな、笑)
、それに対する批判が全くない(それどころかマスゴミが中心 となって勇気ある発言だと礼賛する向きもあるようで、笑)のには違和感が先に立つんですな。
100年前ですら、
少なくとも下品な発言として批判されたんで はないかと・・・。
もっとも、
外国人の奴隷労働については前大戦中のそれについて事実を認めることすらしないのが、
かの大企業だったりしますから。
企業風 土としては、
先祖返りどころか、
この1世紀全く進化していないってことでしょうね。

短歌 青山虫士 青山蟲士 笹井宏之 オマージュ

笹井宏之
ゆきげしき みたい にんげんよにんくらいころしてしまいそうな ゆきげしき


ころしたくなるきもち
 駅前のゆきに
ちまつり
きれいじゃぁないかな

2012年3月28日水曜日

短歌「原書へもどる/父一歌


「原書へ戻る」
毎度毎度のことなんだ
 あうヒト風景覚えているのに
 ジャイロスコープがこわ
 れているんだよ
 右だって、右?
 絶対?
 じゃ左

雲間から雪
お通屋の連れビト立ちどまり
吸いさし
丁寧
ありがとう河超える

古き友にあい
 今年はローマ
 その次トスカナ
 夕日がずっとあるのが不思議 
 聖なる道に梅は咲くかな

古城に雛
 顔パスで今日も
 明治初期だと120年前
 江戸時代経験してない
 クゥと腹なれば

神事に塩
九七歳のおばばの小料理屋
どちらかといえば
悠久が哀しい

父一歌

あんたにわょうさん借りがあるさかぃ
 元気でいられたら困る

2012年3月23日金曜日

劇詩抜粋:とある園芸用品における家庭内テロについて

xxx

彼女:花の栄養剤ね
    糖分の
彼氏:えいようざい?
彼女:そうよそれを鉢に
    つきさしておくと
    花はきれいな
    色に咲くのよ
彼氏:虫を殺すためじゃなくて?
彼女:虫なんて死なないわ
その薬の甘いにおいにつられてよってくるくらいだもの
   春になるとその虫を
   一匹一匹割り箸でこう、
   はぎとっていくのよね
   よくやってたでしょうあたし、
   ああやだ

「繁茂」


「繁茂」
田から降りるとコウノトリが寄ってきた
大空に柔らかな羽ばたきを広げて
風そのものとなり
翼一体から起こる
つむじ
一連山に響きあう
遠い谷間で甲高く
君、翼
ワタシ、ヒト
甘い実のなる枝に其処
彼方も

/兵庫に住んでいると雪国
丹波が身近です
コウノトリの人工生育をまえからおこなっていまスネ
失敗したり見事に育ったり
雪残る盆地の峰に
白い白い羽ばたきが力強くみえまシタ
write by 蟲 12/03/23


2012年3月20日火曜日

雑感「先生の先生は偉いのかまたは進化途上の変異は悪か」


 の手の動きを戸惑いと好奇心のいりまじった目でみつめていた。壇上の若い担任の教師がいつものトレシャツではなく襟付きのシャツにネクタイを締めていたからだ。儀礼というものはそういうものなのだろう。・それぞれ生徒たちが姿勢を正して座ることに未だ馴染めずに片尻をたまに浮かせることで緊張を保っていた。しばらく息を詰めた空間の中できこえたのは喉の奥で抑えられた痰をはらう音だけ。雑音は害悪。律せらるるは是。
 社会学なんてまっぴらごめんなんだけれども、機械工学を選んで学んでいたものに、車をつくるなといったり、数学を専攻していたのに売り上げと利潤を算出させたり、農学博士は実は山にいないとか蒲鉾工場の若旦那が介護保障を施策するから清き一票をなんてままあること。音楽大出の事務員は絶対音感をその運指を出納帳にいかせられれば上等。建築士が運転するコンバインの排気ガスは野山の風景と融合しやすいとか、教育者が教育をするというのは実は恵まれたケースのひとつであり、だからといってその教育が教えられた者たちにとって有益であるという約束なんてない。成績はまぁまぁだったけれども、休み時間はこの上ないほど楽しめた、とか理念の本当の意味を教えてくれたけれども、理念が必要かという問いには答えられなかった。年度が替わり担任が変わったとたん、ノートの使い方そのものを否定された。先生は先生のままなのに先生によって生徒が否定されたわけである。
教育者が教育という立場を前提として行動の規範を限定されるのならば、教育者でいなかった頃、つまり先生の先生から教えられていた頃は、なんだろう。ただの物知りな世話を焼くヒトだったのであろうか。そういうヒトがたまたま教育を選んだことによって失ってしまった自己発露は大き。国旗の掲揚、国歌の斉唱、なんて、ちっぽけな象徴的儀式一連の中で、ただひとり理想の高い、しかれどもナイーヴな心を持つモノが、先生から教わった大事なこと、それがめげない意思を持つことだったとしたら不幸だ。一教師が拒む一縷の行為。エゴの顕れ、唄わない、起立しない、なんてことでしか表現できない彼或いは彼女たちは国家規模での風潮、つまり問題意識を持たないこと、考えることを放棄することを好しとする社会の中で、たまらなく孤独だ。
これここしかないと主張した精一杯の微やかな風なんて縦に長く平地も少ない島国、周りは当然海原せめぎ合う暖流と寒流、風土に根ざした美徳の前では、一迅、一沫、須らく凪。事象でしかない。
わかりやすい形で分散せられた個体は歪だ。高い枝にも届くように首を伸ばすとか大きな体に血脈をまわらせるために心臓を二つ持つとか自ら出てまた水に戻って息は60分に1回しかしないという生態系への適応力を持たない異個体として扱われるのだ。わりと身近に散見される物事なのだ。
たとえば、幽霊の正体たりパチンコ屋のネオン管が切れたところ、おみくじが凶で厄年で入院とか、ファミコンのカセットをわくわくして開けたら考えられないくらい空疎、1ヶ月近く他人のタイムカードを押していた、オノマトペでしか喋られない、トイレの神耳にこびりついて仕方ない、恋に恋してる、誤ったテヘペロの引用、ペッサリーを水に流して詰まらせる。誰もが挫折を経験したもの。つまりは、孤独。彼彼女らには嘆きの壁はないのだから。

Wright by 蟲士

tancka:次に向かうトコロ


「消えてへんやん」
煙草吸いすぎて喉床で
痛む
視線やめなさい明日
ゆっくりはなしきくから

感情が
ゆるみ館内呼び止めて後でいいからと
冷たい
一言業務連絡なんかしない
莫迦話過ぎる

お椀を洗うその手
先こする温めようと
乾いていないから隙間風勝利
冬さ

カルガモや
連れられ遣っきに追いつけと
母羽ばたく
今なんぞ
飛沫
流れ揉ま
れた子らが

手水撫でる
水鏡
うつしよの吾れ
詣でけるかな
こんなんでいいかなん

2012年3月18日日曜日

今日のおほん


これでもかっていうくらいの衝撃


ストレスなんて関係ないゎ


胆石が溜まったままなので痛む胸のうち


I wander fuel of laugh in.

a,so 胆嚢全摘 べっちょなぃし

ぇえセンセゃったし

「いつでも、呼吸を鎮めて、伸びをする」


「いつでも、呼吸を鎮めて、伸びをする」

林の高いところに傷をつける

苦い草は嫌いだけれどたまに食べる

ひらひら飛ぶ変なものの色に見惚れてしまう

夕方まで眠ったから夜を長く過ごせる

産まれてひと月の子が背に乗るとくすぐったい

たまには枝で寝る

東のほうの雄は強い

何度か負けたから

雌が随分減った

たくさんの雨に当たると痛い

広くて高くて手が届きにくい空に色鮮やかな縄張りのしるしが残ることがある

神妙に息を詰めて湖面をうかがっていると、鼻息が荒くなる

たまに水場で喧嘩になる

ちょっと手を洗いたかっただけなのに、カバめ

遠吠えなら得意だ

老いたサルも怯む

満月ならなおさらだ

ゾウも緊迫する

クサムラの中でインパラの親子がまわってる、じゃれて草を食べている、草ならどちらも同じ味だ

息子が大きくなったら

今夜これくらいの遠吠えをして欲しいものだ


write by 蟲

週末の遊び


朝はやおきしてしっかりと朝ごはんをたべてから、君のところへ電話した
話していたら遠い夢でみた海洋救助隊に助けられるのだが、救助ロープが短いので
レスキュー隊員と3人でどうしようかと考えあぐねていた・・・と,そこで話が横にそれているのに気づいた
だって君が電話の向こうでホウホウ?ナルホド、ソレデソレデ?と聞き上手なせいだからねッというと、そうだね、と答える
毎回繰り返しているような気がする
とにかく手のひらについたマーマーレードーを嘗めとりながら「いくよ」といったら「わかってる」
で同時に電話を切る、食べながら喋るのよくないよ、と母さんから言われながら
濡れてもすぐ乾く下着と分厚い靴下2重にだしてもらって
中綿がしっかりしたフロックコートを着て首まで、ぼたんを
父からもらった竿たれる
君はお兄ちゃんの竿を借りてきている「おっきすぎるのが釣れて竿が折れたらどうすんの?」ときいたけど、笑って、笑って早く準備しよう
せーのではじめようって
魚が多く釣られたほうが勝利の証し
匂いのついた消しゴムを奪還するほどの
力の入れよう
イカロス
無心
湖水に垂れる糸の先揺らす
波紋
心おきなく終始した
朝になっても
湖表に霧
カチカチになった指先と真っ赤な耳
ボート小屋の中に入ったり
無熟な苔を痛めないように淵に立ちん坊
長く延ばした桟橋で足をぶらぶら
長靴脱げそうで脱げない
凶暴なパイク
について考えてみる
きのうのベットで図鑑を読んだ
淡水、南米、アマゾン、濁った河に生息、体長オスなら4m、メスなら2m、肉食、弱った子牛やあぶくをたてる子どもたち丸呑み
満足した夜は、河底で、豊かな夢をたくさん観て眠る
歯がギザギザであって
ヨーグルトが苦手
なのは僕
と彼
干しぶどう入れないと食べられない
妹は食べられる
まだ小さいのに、幼稚園児なのに、図鑑も読んでないよ、絵だけ
朽木に腰掛けて2人
糸を垂れる
病気をしていた時の話になった
7度9分だって
寒い
けど汗かいて
なんども母さんに起こされてパジャマを脱いで
汗だく
なのを痛いくらいこすられて、寝かしつけられて、辛いけれど幸せだったの
魔法陣の書きかけのノート、みられてないかな、友だちの暗号ノート、父さんにみせて「ナニコレ」って笑われたのは
残酷
シチューの煮えた匂い
胸がドキドキとなって、じっとしている場合じゃなくって、妹をいじめようかと布団をとると母さん座ってみていたので
そのまま寝床「悪い夢みたの?」
「ううん、闘牛の夢」
「バルセロナ?」
「牛のほう」
「バカだねぇ」
「刺さるといっぱい血が出た」
当たり、君が立ちあがって声をあげる
張つめた糸が琴鳴った
ギリギリだった。友だちが背を反らして
竿をおもいきり立てている
全巻揃った図鑑が本棚に並んでいる
クノッソス神殿
霧の中でお互いよくみえない
水面でなにか暴れている
釣れたのは青鱒、塩で焼いて食べると
おいしい
彼は興奮気味に、霧の中で、まわっている
空か
空気が
なんか青い
狭間がわからなくなって抱きついた「やめろぉ!」
湖北
ポケットからキャラメルを出してわけて
たべる
随分と釣れたんだ、赤鱒と青鱒2匹イワナの小さいのが3匹、知らない小魚が3匹
ビクの中であがいているの
君は笑ってサンドイッチを食べながら
昨晩
大鍋が割れて、お父さんがお母さんの髪をひっぱって泣かせているのを黙って聴いていたんだって、イスも1つ壊れていた
ポットから紅茶の湯気
「僕が作ったマグカップを投げるのをよしたのさ、パパ」かわりに頬に痣をつくったお母さん
「許せないのはお酒だよ」
友だちは玉ネギをよけながらつぶやいた
「なんであんなもの売ってるんだろうね、困ったもんだ、よ」紅茶ぐびり
カタコンペ
鱒のグリルは甘酢をからめて食べるのが好きだ、あいかわらず霧が立ちこめて
獣道しかみえないけれど
曲がり角まで並んで歩いて
「じゃぁね」
「ないしょだからね」
「わかってる」
お兄ちゃんの竿を折ったこと
色が違うけれど僕のと交換したこと
鵞鳥が死んで浮いていた
重いビク
全部
内緒
重いビクをかついだ着膨れの君と、別れた

wrought by蟲

いたちごっこ

湯引きわエスニッ
それがすとレート

正直になる

「華やかなりし君よ」


ぼうと突っ立っている

メリーゴーラウンドは回り続ける
プレゼントはどぶに捨てた
生き地獄をみるのがスキだった
深夜の公園でゴミ箱をジャイアントスウィング
回転木馬が先着を争っている

行き着く先のない争いだった

ぼうと立っている
突っ立っている

観覧車は最高潮のところで止まってしまう
分かれた彼女と二人っきりだった
仕様がないのでべろを口の中に入れた
深夜の公園では回転しながら小便を飛ばした
観覧車が今動き始めた
唇を離して糸を引いた唾

ぼうと突っ立っている

愛すべきは着ぐるみのパンダ
汗臭い
funnyなしぐさにはらわたが煮えくり返った
そんなパンダにもジャイアントスウィング
別れた彼女は無邪気に笑った
一通り回ったので週末を消化するためにポップコーンを食べた
塩味が足りなかった
頬を伝う涙でちょうどよい加減になった

2012年3月16日金曜日

「はずかしくないよ」


「はずかしくないよ」

宇宙
高揚
気分
気圧
アゲー
サゲー
万国
分身
ピーターラビット
希求
結社
叡智
 無念
失念
情念
観念
wroght by 蟲

☆閲覧注意☆「絶対的に生きるということ」


「絶対的に生きるということ」
性根から朽ちた
どうしようもない生き様だ
舞鶴港で拐われてしまえ
キツい眼差しで体躯打ち抜かれてしまえ
懲りない挫折を省みて惑え
奈落なら足元だ
夾竹桃の枝でバーベキューをせよ
電気椅子の電源ならそこだ
ワンボックスカーの灰皿が丁度よいサイズだ
文鎮
石臼
蹄鉄
戒めを全て架せられよ
煩悩?おまえのことだろう
戒め?
守れたためしがあるか?
河原の生首が1つ足りないぞ
たとえどんなに天を仰ごうが鳥の糞しか落ちてくるもんか
オートフォーカスもおまえを嫌う
イグノーベル賞にも範疇にない無様さだ
靴の舐めかたしか知らないくせに
生爪はもう残っていないくせに
純粋に反吐が出る
空疎
蔑視
無慮
愚物
脆弱
非情
懈怠な生きモノ
珍妙なるモノ
穴の開いた鍋
折れた竿
磨り減った靴底
錆びた刃
破傘
豚の餌
オスカー像!
二重窓!
単気筒!
30センチ定規!
FX!
東洋の神秘!
バスコ・ダ・ガマ!
村の長老!
渡り廊下!
撫で肩!

Wright by 蟲

2012年3月14日水曜日

詩「夕辺ダンス」


「夕辺ダンス」

姉のせんたくものの向こうをみていた
べらんだなのに裸足で
耳にはでかいステレオフォン髪がまとわりついていて
不必要に荘厳な魔法の詠唱
右手に無線のコントローラー
ピチカート・ファイヴが19時ごろの都市の名前をいっていた
雷動一閃
ゲームで

遠いおそらのくもまから
そろりとみえた月光
たぶんわるつ
とんとんつーとんとんつー

ワレココニ南方ツキノワ島ショウタイチョウ死セリ伍長シセリ電信兵トイキ
キギ隙間オオク身カクセズ返信願
ワレツキノワ島小隊壊滅電信ワズカ敵機地上攻撃速射タタズ粉塵止マズ
返信願ワレノナカノナカニテ右腕ナシ敵機再キタリ
宙空ノ月光遮ルモママナラズ
高揚ノノルアドレナリン多発

つま先立ちからとぅーりえ
思いのほかたかいひしょう
びょういんのおくじょうがひくくなり
音が止む
ツー
トン

月光はいつのまにかぶ厚い雲に隠れ
姉ののーすりーぶよけてまみえるごついぶら
髪にひっいたマジックテープが邪魔って
こまんどこまんどうるさい!
傷んだ髪がちぎれて巻いた
いい加減に無音
右手のものをソファーにほおって掻きあげる

さて、いくつくらいその娘はステップを踏んだのか
空を月が照らし
また隠れた
びょういんがびょういんとして影さし
雲間から薄暗がりのべらんだの支柱
さぼってかわいてさかなかったあさがお
たびたびにのうで冷たくて
せのび
さする
おーとりぴーととまってる
スーツの男と高校球児が脳天さらす
しらずに
とんとんつーとんとんつー
練習、というよりもまるで舞台、クルッとまわっておじぎをすれば
スタンディングオベィション
指揮者も顔を出して
おじぎ
天覧席へもおじぎ
観客で唸る靴底
おめかししたマダムも鼓動
あっさりと閉幕
視界が蓋がれるのは自爆による絶命かしら
手短にいうのならば、おじぎはしなかったけど

あ、せんとう、とちゅう


written by 蟲士 12.03.12



奥州山河隊商分け入る酷雨歩止めず


長く力なく並ぶ隊列を組む商人
東方からのぬたりした言葉発するもの
仏門を敲くとか
慘慘雨で勾配ぬかるみ
ヒヅメ
岩肌刻まれ眼下に波打つ声儚くのまれ
神の名を叫ぶ西洋の一団
2番目の赤子が死んだとか
血まみれのヒヅメ
絹の反物なら問題ない
西方への書き物も大丈夫
瘡蓋が膿んだヒヅメ
広いひさしの隊長振り返ることなく微笑んでいる
雫しとど分たれたる眼前
その手の中の
緑色淡く鮮やかな蛙
喉ふわりとふくらんだから

write by 蟲士 12.03.12

詩「うっかり昼寝」


「うっかり昼寝」

夜の帳が降りてから

皮のコートとマフラー

ズボンは2本履いている

空、野

鑑みられる視線に気づくのは

きまっていつも

そこに泰然として穿たれた星の数

ではなく

広域帯電波電信通信塔ののかった

関西中国地方独特独自に根ざした宗教組織のビルがあり

毎夜涅槃

金色の鬼瓦、キミ怯む

いつものとおり背を丸めて怯える

勇気と無謀の違いを懇切丁寧に説明してあげていると大乗仏教と小乗仏教のはなしになった蓮の花がひらく件がおかしくって

笑った

白い息が浮かんだ

キミはそのゆくえを追っている優しい娘なんだから

きっと明けの朝は晴れ

果てのない熱対流の移動のはざまで無言

いわずもがな分厚い手袋の指が不器用に絡まる

上天から舞い降りてきた聖なる羽の生えたコドモにケッタイなことをするなと指摘されることもなく

正しい両の手の合わせかたを指導されることもない

なんといっても全世界中にこだまする飢えや、嫉みや、にくしみひいては殺意の中では

この地球今日街頭のしたでよりそい体温をできるかぎり逃さないために歩くという行為は

磯、岩、打ち寄せる壁、残波、イスラマバードで海に生えた藻をつついたら大きく口を開いてエゴと理念をアピールするタイの一種のナワバリ争い、と同等、げに値せず

諌止うっちゃり

ふとキミ

頭部に

柊に似た葉があるよついてるよと告げると、マンガのように背を向けた

そっちじゃァない、こっちだよ、と、また、マンガのようにつぶやくと

正面を向けた虹彩が赤いセルロイドの置物のようにのようにきらめいた

手袋を難技しながら脱いで後ろ髪からとってあげた

なにやら平たい茶色の葉っぱの断片

手の平にのせて二人がのぞきこんだらみえていたのになくなった

背を反らせてハーピーのような姿勢

君はみる

『ハッパ』
『公園?』
『ウウン』
『なに?』
『寝袋デねテタ』

―――するとあれだいつぞやボクがさまよった、夏日、雨中、樹上のくぼみ、セキレイ、よく名の知れない得体の知れない綺麗な茸の群生地、毛布じゃ足りない、夜露、バス停のベンチで固まった背中、地図上ではみえない土産物屋の下卑た図々しさ、うっすらとみえる現し世の文化と国語が違う曖昧な国境を、波打つ島を、港湾を、その朽ち割れたセメントの防波堤を、銀にきらめく小魚の群れを

たぐりよせた

ということだ

『ゴーグルプラスだ』

『ウン』

共有なんて言葉馴れ馴れしくって好きじゃないから利用しないけれども

思わぬところで繋がった

フクロウの声は聴こえない

クルーザーでシャンパン飲みながらイルカの群れの秩序も好奇にしない

沼の深さ測りかねて遠まわりを考えてお湯を沸かしてラーメンを作りゃぁしない

錆びたナイフの背で背中のブヨに噛まれたあとを掻いてあがいたりしない

―――今夜はキミの手袋を

これまた手こずりながらもんどりうって脱がせたら

素手と素手で握り合っていうから

『ツメタイヨ』
『帰ったら雑炊作るから』
『カライノ嫌』
『ハラペーニョいれないから』
『モウネムイ』
『昼寝したでしょ』

空間に次々、次、次、次

浮かぶ白い息たなびき消えた

今の角度からは深い茶色にみえた目の先

新聞配達の4サイクルエンジンの音、軋むブレーキ、高い音

今目の前でうつむいて睫毛だけ敏感、ありがとう

お告げ、舞い降りるのをためらってくれてありがとう

森を刈り大地を埋めて、長い細い舗装路にしてくれてありがとう

隣人、夜半にあまりにもひどくうるさくしてくれてありがとう

ガスファンヒーター、想像以上の利用料金の請求、ありがとう

荒野に


一輪

一仭の風

外套

村を捨て

でたらめに街で暮らす大人たち

哄笑

毎夜律儀に南中に鎮座まします狩りのヒト

ありがとう

written by 蟲士 12.03.11


2012年3月9日金曜日

もう雪わふらなぃだろぅから

冬用の毛布とタオルケットを洗濯する

大雑把な作業ならまかせてくれといわんばかりに職業戦士が躍動

ウィッチが魔法暴発させて気温の無駄な低下

寒いのが苦手な生臭坊主の唇が紫色でマッチャンみたい

放っておくと部屋のものを簡単に開かない宝石箱にしまう盗賊が2HDディスクを発見

すかさずとりあげる

焚き火を囲みながらいつもの雑談

「次、どっち行く?」

「次なぁ・・・」

「地下じゃなかったらぃいよ?」

「己の信奉する天主さまにはいつ会えるんだろうか?」

「辛気臭くなかったらぃいよ?」

「ちょっと黙って」

「おねぇちゃんがいるところならぃいょ?」

「酒?」

「酒だな酒!」

「まったく・・・」

「ツマミがうまいならぃいよ?」

「あんた邪魔、おいそこ速すぎるッ!!」

「・・・うぬわ留守番で写経しておく」

「ぁあわりぃっ頼むょぉい女将!そこのデカイのとチビとめてくれ!」

「この村の地酒は粟と稗だとっ」

「鳥肉が食べられたらぃいよ?」

云々かんぬん

2012年3月5日月曜日

ひさかた些細の逸歌

のどけき笹井宏之オマージュ連歌

誤って選んだものの数々が少しただしくなる晩夏です

硬い石
喉元つかえて枝のハシ

しろくろ
ばんごはんわしちゅーだからね
にんじんのこすのわるいこだんね

一閃
まわり翻るトビ
こう曇って
いちゃぁ目覚めた獲物が
まだ冬だよと土へ

乱れる髪が
オールバックにしかしようがない
俯いて新聞
読んだらうっとうしくって
ハサミみるたびよぎり

赤いリュックとコンパス
でいくから明日みなとみらい
やら碑文谷
余白で少し小田原路

生姜湯ポットいっぱい砂糖も
乾いた咳うつって
しまたっねうつしてし
まったねはやくも2杯

2012年3月2日金曜日

短歌「回顧、時系列」

夕、寒ひと、商店の中
立ちどまってしまうの
食べる公園で豚まんを2個
急かしたくって

雪降らなかったね今年も
一回だけ
アレ?あれは雪じゃぁない
けふここのへに降りにけるらむ

便りかへらず
あまりに軽薄な文面
だったかしら
心躍らなかったからかしら

煙草吐き捨てて
微塵
写真の中にセダンが映る
若い日
タートルネック

眠りやすきピンクの錠剤
数えてる
沈黙の中で明日・・・
うつらうつらら

短歌「うぉーたーまーく」

相槌が
遠い
父の喉から
職を真向するように
情をあずけすぎないように

釣り人河岸
唸り
カッパ剥がされそう
淀む溜に
とりのこされたマネキン

みんな幸せになっています
こればかりの苦悶
社会つゆ知らずば
濡らせる雨
長雨

腰かばい
土曜の曇りに
受話器とる
今まできいてきたあなたの声
ついでにいうならかすれてしまって


爪だけはきれいに
眉毛産毛も
ハンカチの使い方
ハイ、ハイ、
日の陰るこの玄関