言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2011年2月26日土曜日

笹井宏之「虚構」

ここちよい虚構 あなたが包帯のかわりに猫をまく春の夜の

つかず離れず
愛してるなんていわない
心の襞が枕もとの猫とともに

言葉
が途切れる
こんなにも切ない気持ちを抱えているのに

耳を傾ける
それが真実なら
もう一度嘘だといおう

愛ゆえに残酷
新聞にも載らないニュースが
君に降りくる

世界は広いと思う
少なくとも目の前の
ボクのありがたいことは

2011年2月15日火曜日

笹井宏之

 かなしみが冬のひなたにおいてある世界にひとり目覚めてしまう

 世界に穴
 通り過ぎるのも涙
 隆盛を帰すさればなる


表現方法
 居心地が悪い
 つぎの段階にいってしまっているから


型はずれなサイズ
 ボクには
 ぴったりくるんだぁぁ


感謝
 生きている声
 これが選ばれた放課後の声


愛し合うのが当然
 聖夜
 なのだったからね


こびとかばが
 産まれいづるに思う
 声が声なのか
 愛が愛なのか


肘が鼻に入って
 ミョンドンの深みにはまる
 それが不幸なのか幸なのか

2011年2月13日日曜日

笹井宏之「ゆめ」

どろみずの泥と水とを選りわけるすきま まばゆい いのち 治癒 ゆめ

混沌
混濁
憔悴
旅に出ます

雪と雪の狭間
うなだれると
陽光が

壁画に描かれた聖なるもの
かつての
聖なるもの

行き交うヒトビト
夢が叶いますように
みかんがいっぱい食べられますように

一緒に飲もう
公園の屋台の
立ち飲みコーヒーを

2011年2月12日土曜日

笹井宏之「カナシ」

次々と涙のつぶを押し出してしまうまぶたのちから かなしい

大粒の涙
裏切られたのは明日
誠実なのは関係性

まぶた
が広い草原を見ている
キミになら本当のことを言える

リーゼントの青い背景
ジンジンする手のひら
秀でたものが言葉であることに悲しみが

大事な伝言
添付しておくるょ
届くといいな届くと

溢れだすのは涙
ひさかたの光のどけき
たいそうな花を抱えて墓参り

幸せを幸せと思う
はじめてのお使い
かえってきたのは夕ご飯前

2011年2月11日金曜日

笹井宏之「桃」

桃色の花弁一枚拾い来て母の少女はふふと笑えり

安息と
 決めたはずの朝だった
 ベランダから覗く花がきれかったから


指に花
 お仏壇に供えよう
 祖母の好きだった花だから


前をあわせ
 通勤路をかける足跡が
 白の中の黒と転々と


勢いのある野菜
 奥歯で噛んで
 春を知る
 花咲く前でしかない味だった


あさってにやることのメモ
 さかりのついた猫の手術と
 墓参り


季節は春
 桜はまだ咲かない
 きっと刹那にも
 陽だまりで伸びをするよう

2011年2月4日金曜日

++

ファイナンシャルプランナーって何ですか

どうも

人非人デス

通り過ぎた車が

県警の公車に止められた

まことに可哀想

ご存知のところだと思われるが

ボクわ共産主義者なので

彼らの庶務

全てにおいて

納得がいかないものがある

彼らの前で

詩を詠んでも

金管楽器を奏でても

布団の上で丸まるネコほども反応しないノダ

昨夜みた夢も

きっと色彩のない

ごくごくつまらない

想像力のないものであることであろう



だからといって

何かを心酔し

一遍の妥協もないわけでわナイ

そこに

大儀

を得るために

思想操作せられているわけでわナイ

赤い本

などボクわ読まない

社会的弱者



通り一遍の包みを

信じているわけでわナイ

ただこの夜

うまい酒がのめればぃいわけでアル

その夜の宴が

満遍なく

和平を呼び

生きていることへと繋がっていることを確挺せられればいいのである

思想

それわ

それぞれの

胸のうちにアル++

2011年2月1日火曜日

彼の影をなくしたのは君のせいだ

実は私だったのです

薄闇の夏の夕暮れに

理性をどこかにおいてきてしまっていたのです

どんなヒトよりもうまく

おのれをだます方法を身につけなければならなかったのです

傷つかないために

包帯を巻いた手は

いうほど痛みません

きれいな切り傷だったから

さぞかし切れ味のいいナイフだったのでしょう

吐き出す声は

いつも途中で途切れます

手探りだけで何もかもうまくやろうとしてきた

ボクにできるだけ

多くの光を集めて

笑われてもいい

君の明日が醜く歪んでも

アジア

広がる平原

中州

メコン河

ボクの情熱はいまや

流したはずの涙より風呂桶いっぱいあふれ出てしまった

大事な言葉を何度も言おうとして

吐き出す声はいつも途中で途絶えた

薄闇の夕暮れに

理性をおいてきてしまったのです