言語の螺旋

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陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年2月25日土曜日

熾火が残っているなら


「熾火が残っているなら」

青い森

にキノコとキノコの妖精が

書き留めておいてくれたこと

苔深く密

になり

呼吸と共に蒸気が霧

となり

雨も降らないくらい枝々

のびおり

折重なり

しなだれている

市場に売りとばされた

ボトルシップ

水際

密集した木々は互いのちぐはぐな成長過程をお互いうらめしく思い

大樹の影の元からのびる一軒の木コリの住む家へと向かう道

親愛なる木コリ様今日もこちらの森の中はじめじめしております。わたしたちのもりのことです。わたしは元気です、長老が吐血しました。それだけです。そちらの森は降っていますか?それとも曇っていますか?そのどちらか以外ですか?このあいだのひどいあめが降ったときをおぼえていますか?そうです。あのロクでもないどうしようもないほどに破滅的な雨の日のことです。木コリさんはお留守だったので町へ出かけているのかしらと思いながらちょいと雨宿りをさせていただきました。ありがとう。ついでに熾火で体やら背中やらボウシを乾かさせてもらいました。ありがとう。そちらの森の水は甘くてやわらかかったです。あんまりキノコをとらないあなたのシチューのことです。ありがとう。
もうひとり(緑のボウシじゃぁないほうです)よろしくといって今猫を探しているところです。このへんで、ではまた雨の日か雨じゃなくて曇っている日かどちらかに行くと思います。

野犬は役に立たないので町に返し

気分的に表情が忙しく変わる2人のどっちがどっちなのだろうか

果たして

森には木があるから

木コリには困らない

屋根の下で辛抱強く乾かしていくことによって

たきぎ

になり

童話のように神妙な顔つきで講釈をたれる樹のお化けなんかいないので助かる

無口だから

できれば雉鳩にもその嗜みを身につけてもらいたいものだ

うるさいから

森にいる限り

こうして不意に便りがきたり

月夜

みえないけれども

にはヨダカ

夏には蛙

がうるさい

木は十分にある

町に出て女が抱いている子どもが木コリになるという夢を度々みる

その子の分も十分ある

その子が町で女の子どもをもらったとして

例えばだけれども

子の子の分まで十分ある

その先は

わからない

えてしてこの熾火を絶やさなければ

樹の油で黒くてかった煤だらけの天井をみて眠られれば

あと牛乳と煙草を買うために湿った分厚い苔の上を歩く

忍耐

があれば

木コリになれる

明日も早い

カケイがうるさい

空気が煙っている

町で買ってきた丈夫なシャツにリボンを縫いこんだ

子どもの頃みた少佐を真似た

棚には名前を知らない固くて食べられなかったキノコ

手になじんだ手斧


大きめの斧

埃をかぶった瓶のモノは船だった

塩のスープと小鳥を干したいくつか

黒くて硬いパン

満足げに深く呼吸している木コリを

瞼閉じさせるもの

深く青い森の生き物たち

うかがっていた夜だった

・・・

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