言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年6月27日水曜日

雑感「兄の骨折、非日常的な集中力の維持」


調整せるもの。タクシーの後部でゲームウォッチにのめり込んでいた。許すもの業か許されざるものが罰、父はめったにない飲み会で車が出せないでいる。だからタクシー。ボクは適当、小奇麗な着なれない上下の半袖を着て、手ぶら。その席の母はこれといって話すことがないからか黙っている。病院へ向かっている。兄が、長兄がそこにいるとしかきかされていない。車中では2つに画面がわかれたスペースアクションを続けていた。運転手が神妙に交差点を曲がる。古い国道で路肩が荒れていたので、ことさら揺れた。ゲームウォッチをしっかり持って画面の上下に視線をはなさなかった。
 ということを知ったのは、病室に入り、不自然な明るさの蛍光灯、腕に巻かれたギプスを見て気づいた。そいつはベットで上向いていた。退屈さを持て余しているのだろうか。夕食のお膳がのっていて一汁三菜のプラスチックのツルリとした盆が珍しくってしげしげみていると、母に、たべぇょ、と割り箸を渡された。常温まで冷えたひどく伸びた和そばだった。カツオと醤油の香少し。何思うでもなく平らげた。たぶん天ぷらソバだったことが汁に浮いた油でわかる。兄は上だけ食べたのだ。ずるい。母はせわしなくタオルをたたんだり、タオルを袋に入れたり、タオルを棚に並べたりしてから、帰途へ。
帰りのタクシーの中も無言、家の場所を伝える母の横で、ボクはまたゲームウォッチをはじめていた。外灯の少ない田舎道で、行きしより揺れた。タクシーの中の明かりは最低限で、細かく動く敵襲を反射的に撃ち倒す。悲鳴を上げたり弔いをすることなく、次があらわれるので倒す。公営の大きいほうの体育館がある丘を超えるあたりで、聞きなれない音楽になった。ウラ面だった。敵もあからさまに、数が増え動きも素早くなった。ボクは画面の上下から目をそらさず次々と打ち倒していった。なんの、興奮も、緊張も、無く、策略とか無縁にひたすらレーザービームを撃つのだ。数多の宇宙の塵となった敵襲への賛美もない。酷くもない。ただの異物の排除としての行為には感動も伴わない。また音楽が変わり、いつもの画面といつもの敵が「よろしいでしょうか?」ともったりとしたスピードでやって来た。もはや、敵ではなかった。その日のその時のタクシーの薄明かりの中での、ボクの集中力は、かつてないほど高まっていたからだった。
そろそろ家への登り道が信号は赤、照らされている。早々と荷物を両手に持つ母に急かされて、HI―scoreを刻むゲームウォッチを置いた。
家に着き、腹を空かせた犬に吠えられ、雑多な猫が足元に体をなすりつけてくる。猫の缶詰を8個あけて新聞の上にばらまく。犬にも同じものを、量を減らしてやる。カップうどんがちょうど出来上がる時間で、TVをみながら夕飯とする。母親は犬の散歩に出ていった。積み重ねられたものが瓦解、忘れた。タクシーの中HI―scoreを出したゲームウォッチを置いてきてしまっていたのだ。ショックではなかった。病院にいる兄が、痛いと言いながら母に瑣末なことを伝えていたのを聞いているときくらい、関心が薄かった。兄が腕を折った日の晩、失せてしまったスペースアクションのゲームウォッチはタクシーの中に置き去りにされた。集中しすぎていたんだと思う。多分。苛まれることがあるとすれば、そこに正義が確立されてからでないと、成り立たないものだ。〈了〉

wrought by mushy12.06.27

2012年6月26日火曜日

ころがる石にまいまいかぶり



収益とは別に




ハカセタロウの髪型




毛細血管




脳溢血




一息を付いたら








を知った

詩詠「ステージショウから火鍋への経緯」


「ステージショウから火鍋への経緯」

犬たちの
行進の
音曲が
鳴っている

犬たちの
行進の
訓練が
続いてる
犬たちの
行進の
音曲が
止まらない
犬たちの
更新が
続いてる
犬たちが
なにかをせずに
失敗すれば
ムチ
打つ
悲鳴
犬たちの
行進の
音曲が
鳴っている
おなじ犬
おなじところで
また失敗
ムチ
打つ
悲鳴
犬たちの
訓練の
音曲が
止まらない
おなじ犬
おなじところで
また失敗
うまく
やらねば
ムチ
悲鳴
犬たちの
音曲が
止まらない
おなじ犬
何度も
何度も
失敗するので
ムチ
悲鳴、悲鳴
犬たちの
音曲が
響いてる
またまた失敗
ムチ
悲鳴、悲鳴
犬たちの
行進が
続いてる
おなじ犬
同じところが
できなくて
ムチ
ムチ
ムチ
犬たちの
音曲と
ムチ打つ音が
止まない
悲鳴も
聞こえず
続いてる
寸胴の
鍋がある
火をくべて
湯気がたつ
行進の
上手くない
小柄な犬が
ひとこと
鳴いた
寸胴が
湯気を立て
煮えている
もし願いが叶うなら
唐辛子を
山盛りに
にんにくの粒を
山盛りに
放り込む
寸胴が
湯気をたて
湧いている
スタミナをつけるための
味付でだけは
煮えたくない
行列の
上手くない
小柄な犬が
息をつき
ひとこと
鳴いた
犬たちの
訓練の
音曲が
止まらない
犬たちの
行進の
音曲が
止まらない
〈了〉
wrought by 青山蟲士12.06.26

2012年6月24日日曜日

笹井宏之オマジュtancka「しかながら」

愛としかいいようのないものをこぼし夢の川原を去ってゆく鹿


牡鹿呼ぶ
けーん
牝鹿ひるんでいる眼下渦巻く波
けーん
石蹴って小石散らし、跳んだ


間伐材でお茶
ゴツイ革の手袋蒸れ
香る
ちょっと下で顔洗ってきます


小袋の飴を分けわけ
ボクいちご、
あたしソーダ
目が合うもの
あげちゃ駄目
あげちゃ駄目
毛づくろいして行った


いい加減休もうと
ザックを下ろす
水をコップに移す
コンロを出して火を借りる
ゴァォ~ッ
力強い人の手による利器哉

お宮に寄った
林道の歩行者が交差する
目が合い汗を確かめ笑む
ご苦労さん
慣れた人なのだろうか
ずいぶん軽装だったな
スーパースターだった


簡素なバス停
おばぁが
はたけからなにか
?
あと2時間こないって
ケーンッ木霊

「ピーマンヶ丘、Hills of pigments」


「ピーマンヶ丘-Hills of pimentos」
ふもとから頂上までさ びっくりするくらいに続くのは

早熟やら完熟やらその中途のピーマンがその枝を空にかかげ 波打って整然と山となってなっているこのだ

ところどころに絡みつこうとするピーマンの枝をよりわけるようにして建つ小屋たち

腕自慢アイデア溢れたピーマン専門のコックさん

そこでは 毎日訪れるピーマン好きの人たちが

ピーマンの太い枝をよけたり反ったりたまに小虫がいてにっこりしたり

あそこのピーマン色のお屋根の店にしよう

とか

あちらのピーマン色の窓枠のお店はどうか?
とか
こちらのピーマン色のドアのお店はどうだろう
とか
あちらのピーマン色のドアを照らす木漏れ日はどうかしら
とか
そちらのピーマン色のドアが半開きでラッパの音楽が聞こえるのが気になる
とか

こっちのピーマン色の生垣のお店はまえよかったよ

とか

そちらのピーマン色の帽子のコックさんがいい!
とか
えてしてピーマンの色は想像以上に色とりどりだし、これもピーマンの色だよ
とかこれも珍しいアンデスのピーマンの色さ
とか奥深いグラディション

どっちのコックさんの腕が立つのか見てみたい! とかいうピーマン好きたちがこぞって

お昼前にはにぎやかな人たちでそこいらじゅうのピーマンの色のお店はピーマンパーティが

毎日毎日繰りひろげられるそして夕方の陽が傾きかける頃には

こちらのピーマンのスパゲッティはソースからして絶品だった

とか

こっちのピーマンのスフレは甘酸っぱくってなるほどだった

とか

そっちのピーマンのバターソテーは香ばしく歯ごたえもあった

とか

あちらの新鮮で艶やかなピーマンのサラダは食べ過ぎるくらいだった

とか

どっちのピーマンのステーキも程よい塩加減、驚くほど肉厚でジューシーだった

とかいって

また次はどちらにあちらにそちらにこちらに

いつそこきみとあなたとあんたとこっちこちらだってそちらの方もいやさキミもご一緒に来よう

来たいな

食べたいね

満喫したいわ

新しいのを試すよ
お腹いっぱいだね
満足だったねと

微笑んで連だって帰っていくのだ

そしてその笑い声の中で葉虫たちもコロコロりーりーっスイッチョンと

にぎやかさに波打つようにしてひろがっていく

涼やかな夕暮れの風が山ほどのピーマンの枝の葉を翻させていくのだ

write by 蟲士 改稿12.06.24

2012年6月22日金曜日

tancka「湯治場?山奥の商い上手な銭湯」

かすめとる湯場
 隣のロッカーが放つ
 飛沫を抑えてに
 体を
 洗う

午睡
 草臥れていたんだ
 思いのほかずっとのぼり
 だったのはくだってみてから気づくもの
 替えのシャツ
 天日干す
 曇天

揺るがない意思で
 バニラアイス
 \20表記より高くても
 バニラアイス
 酪農とはえんゆかりない地で
 バニラアイス

やたらと歩く
 ロビーから受付まで
 受付から番台まで
 そんなに歩かされたらふけんこうなもんも健康なるわっ!

シエスタ
 地元のワイン
 じゃぁなくって
 番茶
 まどろむ午後
 カンツォーネ
 じゃぁなくってミヤネ屋
 パサパサの手作りクッキー
杜甫の夢み

WRITS BY杜甫虫

tancka「うたうたう」


とある女性の希望で歌います

言葉を修飾しない
地方の村人とはなしたら
表情こわばって
ナタを置く
すまいる、すまいると
あとじさる

蹴込み前周り
昔出来た
学校の一番背の高い鉄棒
風景の中でも
羨望され

悪性新腫瘍が治る
希望的見地がみられる
90までいきる
ひとがふつうに
いきて
のどから糖を摂る
たしなみ

おもいっきり
脚を回しているのに
km/hとか
兵庫の北側へ行くには
心がけておかなくっちゃぁいけない
心躍るpopsong
をおぼえてから、のぼる

長い手紙を
個人的にくれる子
よしよしも
ほうほうも
ディベートも
やらないで
つまりは
とてもクールに詩人になればいいのに
とけふもかえす
うたうたう

write by chu-si

2012年6月18日月曜日

あ、詩のボクシング落ちました

不戦敗

間に合わなかったのわ

規定就労外、残務

のため

詩人わはたら いてはいけない

素敵な夢をみさせらるるのが

生業

雑感「水牛」

なにをして

熱帯夜

歩をすすめるかホーチミン市に

いわんや泥濘ののたうつミミズをや

2012年6月8日金曜日

梅田界隈、所用一日片時

すこうし大阪に行ってきた
所用で、
日本橋によろぅかよろまいか、過ぎるもの
唐揚げが食べたくなったので
新地へ
地鶏を薄コロモで、パリッと揚げたやつを、塩で食う。
店の名前は内緒。
変な時間に電車に乗り込んだので座れた
旅に出るつもりで荷造り
していたので
背中が痛んだ
口の端に、さっきの油と塩が
舐めずる
行儀悪い男

オマジュまどみちお「一年生になったら」


オマージュ、まどみちお「トモダチ100にん」
一年生になったら
一年生になったら
トモダチ100にんできるかな
100にんで食べたいな
富士山の上でおにぎりを
パックンパックンパックンと

一年生になったら
一年生になったら
トモダチ100にんできるかな
100にんでかけたいな
日本中をひとまわり
ドッシンドッシンドッシンと

一年生になったら
一年生になったら
トモダチ100にんできるかな
100にんで笑いたい
世界中をふるわせて
ワッハハワッハハワッハッハハ、ハハハハァ

「いちねんせいなんだから」
「そうなの、そういうもんなの」
「左がよこぼうから」
「長崎のきよっさん」
「アジトにアメ隠して」
「女子が強いからスカート」
「鉛筆両方から削ってらァ」
「おとんが一升瓶でおでこを」
「弟が泣いたらボクのせい」
「湿原は緑だ」
「夜間急行がぁ過ぎる」
「緑に包まれた赤子が抱かれて」
「深い森だった」
「ケンケンパーならもうやらない」
「銀色のめんこは無敵だ」
「お母さんが帰ってこない」
「おかぁさんのコロッケが食べたい」
「湧水は澄んでいるから」
「病欠1名」
「陣取りならもうとってある」
「そういうもんなの、そうなのよ」
「弟が何もなしに泣き始める」
「おかか」
「ならづけ」
「辛いの仰山いれたん…」
「手を、繋ごう」
「湿原に足をとられないように」
「手を繋ごう」
「背の高い葦に惑わされないように」
「ボクらは小さい」
「沼は想像以上に深いから」
「今夜の列車を峰からみつける」
「オレンジ色の灯だもの」
「迷わないよう手を」
「右手、貸しなって」
「そっちじゃぁないよ」
「そっちは沼だよ」
「お母さんが帰ってこない」
「列車はいってしまった」
「コロッケ食ったのだァれ?」
「左だわよ」
「俯いていた」
「そっちは沼だょ…」
「弟なんか欲しくなかった」
「奈良漬うまい」
幼い学童、声高らかに笑うぞと

writ`s mu-shi(一年生)

2012年6月6日水曜日

はじめてのおつかい「父一歌」

だれにもないしょでおかいものなの
どこにいこうかな
mmm~year!
彼岸迄にわ戻ります
ペトロとヨハネにもよろしく
おやつでカカオ油を持っていきます
ごめんなさい

ヤーベ
「父一歌」
声がかすれるこなくていいといういこうとしたのにいくのをやめる電話切る

ささいな食い違いが露骨に時間を奪う

今日?昨日?今日っていって
明日にはって答えたら
じゃぁ明後日ね
ん?
今からみて明日、に片付けるからだから明日
それが明後日?
とても今君に逢いたい。
酔い覚めのただなかで、歩行者天国に埋もれたいんだ

2012年6月3日日曜日

「ヒルマエバス」

 シーツをもちあげてもぞもぞと体を掻きながら無造作に、でもそっとベットをたった。起こしたら悪いので足音もひかえた。それからトイレにはいりアルコールの分解された甘たるい発酵された匂いのたつションベンを長々としながら思った―――果たして昨夜は何があったのだろうか―――と。

「たとえば息を呑むような」~素敵に少年のままな詩人の歌


深窓のキミは、ひとりかい
虹がでるのを待つんだってね
熱線照射がある仰角に差込むと
プリズム効果
飛散
あわい空気の分子踊る
それに映る膜となり色彩
たとえば、ヒトが息を呑むような
きっとヒマラヤの山頂が、かつて海
ミツバチは蜜を運んでいるときが幸福
寂しい豚は子を数産む、生理
よその木の巣の別の卵を、地べたに落としても育つ。行儀が悪い鳥、ありなむ
流体力学でたらめな、ごくたまに空、過ぎるもの、ぞありなん
モーゼが歩いてわったったのは、塩湖
魚を獲るなら、鉱山の小川はダメだとか、ロリィポップキャンディー、キミは咥えたまま、犬が犬による犬のための政府、五七調なら民意、七五調なら謀反、七七で対空カノン落とす中性子華やぐ対句
キミさぁ
上手に枕をとんとんと形を整えながら鼻歌なんて
ゆっくりと甘い午睡にたゆたいたいの?
明日乗る始発の列車に思いを馳せて、未来、乗り継ぐ電車が黄金
駅を出て新しく切符を買うと、20円お得
われ日なん、ヒトビト憮然
目があった少年。
大きなリュックにお菓子とタオルと楽しかろう夢、はちきれそう。
つり革に届かないのを隠して、母のジーンズひねってる。
また目があう、緊張していて寝不足だけれど、大きな目、
映ってるんだ、七色が。
ねぇキミ
見つけたよ
ありなん
〈了〉好、虫、なつひ12.06.03
追記この時大事な友達の詩人が脳死、にあっていて、それを取り囲む方々が「もしかしたら」「万が一の可能性」 で生命が戻ると信じていたかった頃の作品デス。彼と御家族型とと心かょわせられた友達も頑張ったけれども12.07永眠なさいました。
彼とはスッと友達でいる承認をしていて欲しいです。
0909.蟲士