言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年6月24日日曜日

「ピーマンヶ丘、Hills of pigments」


「ピーマンヶ丘-Hills of pimentos」
ふもとから頂上までさ びっくりするくらいに続くのは

早熟やら完熟やらその中途のピーマンがその枝を空にかかげ 波打って整然と山となってなっているこのだ

ところどころに絡みつこうとするピーマンの枝をよりわけるようにして建つ小屋たち

腕自慢アイデア溢れたピーマン専門のコックさん

そこでは 毎日訪れるピーマン好きの人たちが

ピーマンの太い枝をよけたり反ったりたまに小虫がいてにっこりしたり

あそこのピーマン色のお屋根の店にしよう

とか

あちらのピーマン色の窓枠のお店はどうか?
とか
こちらのピーマン色のドアのお店はどうだろう
とか
あちらのピーマン色のドアを照らす木漏れ日はどうかしら
とか
そちらのピーマン色のドアが半開きでラッパの音楽が聞こえるのが気になる
とか

こっちのピーマン色の生垣のお店はまえよかったよ

とか

そちらのピーマン色の帽子のコックさんがいい!
とか
えてしてピーマンの色は想像以上に色とりどりだし、これもピーマンの色だよ
とかこれも珍しいアンデスのピーマンの色さ
とか奥深いグラディション

どっちのコックさんの腕が立つのか見てみたい! とかいうピーマン好きたちがこぞって

お昼前にはにぎやかな人たちでそこいらじゅうのピーマンの色のお店はピーマンパーティが

毎日毎日繰りひろげられるそして夕方の陽が傾きかける頃には

こちらのピーマンのスパゲッティはソースからして絶品だった

とか

こっちのピーマンのスフレは甘酸っぱくってなるほどだった

とか

そっちのピーマンのバターソテーは香ばしく歯ごたえもあった

とか

あちらの新鮮で艶やかなピーマンのサラダは食べ過ぎるくらいだった

とか

どっちのピーマンのステーキも程よい塩加減、驚くほど肉厚でジューシーだった

とかいって

また次はどちらにあちらにそちらにこちらに

いつそこきみとあなたとあんたとこっちこちらだってそちらの方もいやさキミもご一緒に来よう

来たいな

食べたいね

満喫したいわ

新しいのを試すよ
お腹いっぱいだね
満足だったねと

微笑んで連だって帰っていくのだ

そしてその笑い声の中で葉虫たちもコロコロりーりーっスイッチョンと

にぎやかさに波打つようにしてひろがっていく

涼やかな夕暮れの風が山ほどのピーマンの枝の葉を翻させていくのだ

write by 蟲士 改稿12.06.24

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