点勝という上方の落語家がいまして
屋号わ今わなき文字屋
太融寺での定例寄せもまずまずのヒト入りで
3番弟子である点勝の今日のお題わ
「お役所供養」
出番の1刻まえどきにちょっと小料理屋に寄って「腹へりましたわぁ~」
大将「ほんならかつお節ご飯でもだしましょか?」
「あほぃいな大の男がそんな通りの猫みたいなもんぅれしそうに食べるかいな」
大将「ほんなら板わさですか?ワサビじょうゆでちょっとつけて」
「素うどんの飾りみたいなもん食わん年中祭り屋台ねりまわしとんと違いますで」
大将「じゃぁどうしまひょか」
「堂島わ4町ほどあるいたところにある」
大将「知ってますほんならいつもどおりのメザシと卵かけご飯と温燗2合」
腰掛の前に次々でていく品何も言わず銚子に口をつける点勝
というやりくりが毎日続いているのである
空いたままのまぐちから通りの足音が聞こえてくる
どうやら相当いそいでいるようで「コラッ!」やら「あんたっ!」とか「ひゃっ」とか聞こえてくる
そのたびにスンマヘンスンマヘンスンマヘンとぺこぺこしながら近づいてくる
でその間口に現れたのわ弟子の小山椒いききらせながら
小山椒「す,すんまへん!!師匠!!あのあのあのあののののの」
「やかまし!ただでさいまずい飯がもっとまずなるっ」
大将「えらい血相やなどないしたんやとりあえず水飲み」
・・・
大将「ええ飲みっぷりやなもう一杯飲んどき」
・・・
大将「そうかそうかうめぇかもう一杯」
・・・
大将「もう・・・」
小山椒「もうお腹いっぱいでんがな!!」
「でどうした?」
小山椒「三代目松正師匠が寄せにいらっしゃってくだらんくだらんぃいながら取り巻きのもんと最前列に鬼の形相して越し据えとるんですわどうしましょう師匠」
「・・・お前の出番わ?」
小山椒「緊張してカチコチなってさっぱりわやですわ・・・」
大将「そないに泣きないな手ぬぐいワ商売道具やろ」
「こないだ天満の寄せで隅っこで立ち小便してたんがバレたんかなぁ・・・松正め小細工しよって」
小山椒「火に油注いだんわ師匠ですか!?」
「いやいやほんまわ真打なってから100回めやったからお祝いに花こうていったんやけえども」
大将「あんたら犬猿の仲やのにな」
「楽屋に顔出して挨拶したらありがとうもうんともすんともぃいよらんから」
大将「子どもの喧嘩よりタチ悪い」
「花屋にいって仏花送らせたった」
小山椒「山椒兄さんも一味姐さんもなんともならんから師匠呼んでこいっいうて」
大将「今からいっても喧嘩日どなるだけですょ」
「大将!!」
大将「僧正にいうてこさせましょか?」
「そんなしちめんどくさいことするかいな、大将よぉ磨いだ出刃一本貸してくれそれを晒しでこの手にぐるぐる巻きにしてくれ」
・・・
大将が歯ぁガタガタ言わせながらぎっちょの手で酒を煽るように飲む点勝
結局半升ほど飲んだあと
「つけにしといてくれ」
小山椒も意味も分からず深々と頭下げて暖簾を上げて師匠についていく
「ほないってくるわ」
・・・
「と歩いてここまで戻ってきたんですがどうりでみなさん辛気臭い顔しとる
寄せという場わわろうてもうてナンボのところやからオベントもってじっとしとるうヒトいうのわ
よほどの変わりもんかお役所のお堅い方が偉いさんの通夜とまちごうてきたかしたはる
今日わそんな風にうまいこと供養でけるかどうかわからんけれども・・・
・・・
文字屋松正一行そろそろと身をかがめながら座敷の間を出ていった
屋号わ今わなき文字屋
太融寺での定例寄せもまずまずのヒト入りで
3番弟子である点勝の今日のお題わ
「お役所供養」
出番の1刻まえどきにちょっと小料理屋に寄って「腹へりましたわぁ~」
大将「ほんならかつお節ご飯でもだしましょか?」
「あほぃいな大の男がそんな通りの猫みたいなもんぅれしそうに食べるかいな」
大将「ほんなら板わさですか?ワサビじょうゆでちょっとつけて」
「素うどんの飾りみたいなもん食わん年中祭り屋台ねりまわしとんと違いますで」
大将「じゃぁどうしまひょか」
「堂島わ4町ほどあるいたところにある」
大将「知ってますほんならいつもどおりのメザシと卵かけご飯と温燗2合」
腰掛の前に次々でていく品何も言わず銚子に口をつける点勝
というやりくりが毎日続いているのである
空いたままのまぐちから通りの足音が聞こえてくる
どうやら相当いそいでいるようで「コラッ!」やら「あんたっ!」とか「ひゃっ」とか聞こえてくる
そのたびにスンマヘンスンマヘンスンマヘンとぺこぺこしながら近づいてくる
でその間口に現れたのわ弟子の小山椒いききらせながら
小山椒「す,すんまへん!!師匠!!あのあのあのあののののの」
「やかまし!ただでさいまずい飯がもっとまずなるっ」
大将「えらい血相やなどないしたんやとりあえず水飲み」
・・・
大将「ええ飲みっぷりやなもう一杯飲んどき」
・・・
大将「そうかそうかうめぇかもう一杯」
・・・
大将「もう・・・」
小山椒「もうお腹いっぱいでんがな!!」
「でどうした?」
小山椒「三代目松正師匠が寄せにいらっしゃってくだらんくだらんぃいながら取り巻きのもんと最前列に鬼の形相して越し据えとるんですわどうしましょう師匠」
「・・・お前の出番わ?」
小山椒「緊張してカチコチなってさっぱりわやですわ・・・」
大将「そないに泣きないな手ぬぐいワ商売道具やろ」
「こないだ天満の寄せで隅っこで立ち小便してたんがバレたんかなぁ・・・松正め小細工しよって」
小山椒「火に油注いだんわ師匠ですか!?」
「いやいやほんまわ真打なってから100回めやったからお祝いに花こうていったんやけえども」
大将「あんたら犬猿の仲やのにな」
「楽屋に顔出して挨拶したらありがとうもうんともすんともぃいよらんから」
大将「子どもの喧嘩よりタチ悪い」
「花屋にいって仏花送らせたった」
小山椒「山椒兄さんも一味姐さんもなんともならんから師匠呼んでこいっいうて」
大将「今からいっても喧嘩日どなるだけですょ」
「大将!!」
大将「僧正にいうてこさせましょか?」
「そんなしちめんどくさいことするかいな、大将よぉ磨いだ出刃一本貸してくれそれを晒しでこの手にぐるぐる巻きにしてくれ」
・・・
大将が歯ぁガタガタ言わせながらぎっちょの手で酒を煽るように飲む点勝
結局半升ほど飲んだあと
「つけにしといてくれ」
小山椒も意味も分からず深々と頭下げて暖簾を上げて師匠についていく
「ほないってくるわ」
・・・
「と歩いてここまで戻ってきたんですがどうりでみなさん辛気臭い顔しとる
寄せという場わわろうてもうてナンボのところやからオベントもってじっとしとるうヒトいうのわ
よほどの変わりもんかお役所のお堅い方が偉いさんの通夜とまちごうてきたかしたはる
今日わそんな風にうまいこと供養でけるかどうかわからんけれども・・・
・・・
文字屋松正一行そろそろと身をかがめながら座敷の間を出ていった
0 件のコメント:
コメントを投稿