言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2009年8月11日火曜日

ピーマンヶ丘(hills of pimentes)


ふもとから頂上までさ びっくりするくらいに続くのは

青いピーマンがその枝を空にかかげ 波打って整然と静謐としてなっているのだ

ところどころにピーマンの枝をよりわけるようにして建つ小屋たち

腕自慢アイデア溢れたピーマン専門のコックさん

そこでは 毎日訪れるピーマン好きのヒトたちが

ピーマンの枝をよけたり反ったりたまに小虫がいてにっこりしたり

あそこのピーマン色のお屋根の店にしよう

とか

あちらのピーマン色の窓枠のお店はどうか?

とか

こっちのピーマン色の生垣のお店はよかった

とか

そちらのピーマン色の帽子のコックさんがいい!

とか

どっちのピーマン好きの腕が立つコックさんが見てみたい! とかいって

お昼前にはにぎやかなヒトたちでそこいらじゅうのピーマン色のお店はピーマンパーティが

毎日毎日繰りひろげられるのして夕方の陽が傾きかける頃には

こちらのピーマンのスパゲッティは絶品だった

とか

こっちのピーマンのテリーヌはなるほどだった

とか

そっちのバターソテーのピーマンは香ばしく歯ごたえもあった

とか

あちらの新鮮なピーマンのサラダは食べ過ぎるくらいだった

とか

どっちのピーマンのステーキも驚くほどジューシーだった

とかいって

また次はどちらにあちらにそちらにこちらに

いつそこきみとあなたとあんたとこっちだってそちらの方もご一緒に来よう

来たいな

食べたいね

満足だったねと

微笑んで帰っていくのだ

そしてその笑い声の中で葉虫たちもコロコロリーリースイッチョンと

にぎやかさに波打つようにして

涼やかな夕暮れの風が山ほどのピーマンの枝の葉を翻させていくのだ

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