光が射す
遠い西の熱帯地方の山村で
民族同士の争いからだった
牛が43頭奪われ占い師の小屋以外はすべて燃やされた
いずれにしても一方的ではない
相手の部族では万屋と飯屋が荒らされ少女はみな人質に取られた
国際医療というものを考えるときに
言葉の壁はもとより精神論の違いから来るもしくは宗教的な束縛による不可侵なことが数多ある
お互いに夜になると大きな薪を焚き戦士が交代で門の前にたった
勇気
という言葉を
もう一度深く考えてみよう
ある時代にその勇気を振り絞り国から飛び出した女性がいたことを誰もが知っているはずだ
大切なことはその一歩を踏み出すこと
できることはその場で最良の判断をすること
できるならば運命を占いなどに頼らないこと
人質になった娘たちは次第によその村に馴染み
そのたった一人の看護士にも信頼を置くようになった
残念ながら牛は戻ってこなかったけれども
お返しに羊を72頭送り返した
ある乾期の宵のことあちらの村の村長が戦士を連れずに一人でやってきた
その看護士に助けを求めるためだった
食べ物ならいくらでもやる
鶏なら20羽与えてもいいという
とにかく小屋を作るためにその村の男手を貸して欲しいというのだ
看護士は片言で村長に伝えたのは
「いきなさい、タスケナサイ、薬はまだアリます、それから・・・」
村長は口をあんぐりとあけてにごり酒を飲み干し戦士を呼ぶよう12番目の息子に伝えた
いつかはその村と村の間には道ができ
人が行き交うようになり昔話をするたびにその看護士の事が口に出るのだった
看護士の最後の言葉は英語だったので誰にも理解できなかった
・・・peaseful