言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2009年10月12日月曜日

甘い憂鬱

こんがりとした
夕日のたつ丘に
名前のないヒトの棲む
小屋が建っている
僧侶だそうで
朝の日の出と
日の入りの時間になると
リンゴーン
と鐘を鳴らすんだ
その鐘の音ととともに
まず
羊飼いが目をさまして
配達のまえの朝食を食べ始める
牛飼いは
干草をくるくると巻きつけて
うずたかく積み重ねる
吟遊詩人は知らない異国の優雅な夜会の様子を
奏ではじめる
先生が学校につくころには
村のだれもが
通りに出て挨拶を交わし
今日のこの日の
幸せを祈るのだ
黒いネコは
そんな時
港に出て波が高く打ち寄せているかどうかをみてみると
どうやら今朝は
舟がでていないようなので
きのうの晩は風が強かったものだよな

あきらめて
日向で毛づくろいをするのだ
こんがりとした夕日のたつ丘の僧侶は
そんなネコのために
ミルクにひたした黒パンを
窓辺にそっと
置いてあげるのだった

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