言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2009年11月7日土曜日

ある燈台守のはなし


灯台の老人は律儀に毎夜灯をともした
朝は毎日羊飼いが羊の乳を届けてくれた
パンは毎日かまどを持った奥さんが香ばしい香りとともに届けてくれた
郵便は
岬の灯台
とだけ書けば郵便屋さんが届けてくれた
参るのは
灯台のガラスにこびりついた煤を払うときだった
なんとも
一日かかって磨いてもすぐ真っ黒になってしまうのだ
ということで
町の煙突屋さんにきいてみたが
灯台は掃除したことがないとのことだった
お風呂屋さんに聞いてみても
年に何度か煤は払うけれども毎日じゃないからとのこと
かまどの奥さんに聞いてみると
かまどは真っ黒なくらいがちょうどいいから掃除はしないとのこと
どうしたものか・・・
どうすればよいのか・・・
まぁ、それが仕事だからあきらめるかと思ったときに
レモン農園のおじいちゃんが浜までおりてきて
灯台の男にこういった
煤にきくかどうかはわからないけれど
彼の家では何でもオレンジの皮で磨くのだそうだ
なるほど
と彼は思った
それから
毎日の
牛乳と
パンと
そのほかに
レモンの皮を持ってきてくれるようになって
いつでもぴかぴかの灯台になった
ということだった

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんにちは。早速きました。
独特の世界観でびっくりしました。
更新がんばってください。
それでは失礼します。

Unknown さんのコメント...

匿名氏>アリガウチョ

ここで世界が完結しているわけではないのです

ここから世界が広がるのです

またキテネww