言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2010年1月15日金曜日

遠い太鼓

遠い太鼓

でもこのアナルロギスに対しては

ボクはわりに素直に接することができた

アナルギロスは40歳前後の

小柄な男である

いつもなにかについて夢想しているような顔をしていて

話をするときには頼りなさそうな微笑を浮かべる

ギリシャ人にしては珍しく声が小さくゆっくりと丁寧なしゃべり方をする

働きもので

朝の8時から午後2時頃まで店を開け

夕方にもまた3時間くらい店を開ける

いつも一人で働いている

たぶん一人ものなのだろう

店の中は例によって暗いので

暇なときはアナルギロスは店の向かい側の石垣に腰を下ろして

パトラリス②や近所の奥さんと世間話をしている

そして客が来ると例の微笑を浮かべ

道路を横切って店に戻る

店の中にはときどき猫が眠っている

この猫はアナルロギスをパトロンときめこんでいるらしく

いつもダンボールの上に丸くなってすうすうと寝息を立てている

*

よくある事であるが寄りなれた街

生きることが大事なときに

これこそが求めるべき道なのだと思う

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