言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2010年3月9日火曜日

詩「無題」


*詩のボクシングに出品しようと思っている作品です

ご感想いただけたら幸いです*

6月の海上に浮かぶ雲はキミを憶えていますか
風が渦まいています
風速20mで雲が流されています
懇切丁寧な陽射しのもとで
小麦色になったキメの細かい肌は
サンオイルで照りかえされています

そこから先は遊泳禁止区域です
と英語で言われたので波止場の突堤で
ぼんやりと雲の浮かぶのをながめていました
歴史は浜辺で寝そべる男の子と女の子にも
ことさら丁寧に降りそそいでいます

やたらと毛深いレスキュー隊員が
お前中国人か
ときいてきました
めんどうくさいので「アチョー」といっておきました
雲もあっマリにもじろじろ見られることに慣れていないから
風速20mの中に消えていきました

ビーチに寝そべっていると
片腕のない男が
サーフボードを抱えて今日の波の様子をながめています
ボクは波に乗らないので興味本位できいてみました
片腕の男はサーフボードを浜へたてながら
どうもこうもないといった身ぶりをしました
ボクの訛りがひどかったのでうまく伝わらなかったようです

たくさん失くし物をしました
アメックスのカードと
お気に入りの文庫本
彼女のボクに対する興味
共産主義思想と
南の国の6月の海に浮かぶ雲

彼女に頼まれたので
ビーチのバーにいって
ソルティドックを2つ買いました
現金が残り少ないのに気付いて
まいったなぁと思いました
まあここは南の国の浜辺なんだからなんとかなるだろうと思って
鼻歌なんかをしながら
彼女にそれを渡して隣に腰掛けました

彼女はいいました
「今晩はお肉が食べたい
とびっきり分厚くてジューシーで
パイナップルがのっかっていないやつ」

そうだな
6月の海上の雲をないものにするよりは
よっぽどたやすくできることだと思う
彼女のちょっとした我儘はとてもかわいらしく思えました

キミは南の国の浜辺で小麦色になって
ソルティードックを飲んでいたんだよ
たまには思い出してよね

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