言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2010年4月15日木曜日

南の国の海に浮かぶ雲


6月の海の上に浮かぶ雲はキミを憶えていますか

風が渦巻いています

風速20mで雲が流されていきます

懇切丁寧な日ざしのもとで

小麦色になったキメの細かい肌はサンオイルで照り返されています

そこから先は遊泳禁止区域です

と英語でいわれたので波止場の突堤で

ぼんやりと雲の浮かぶのをながめていました

歴史は浜辺で寝そべる男の子と女の子にも

ことさら丁寧に降りそそいでいます

やたらと毛深いレスキュー隊員が近づいてきて

お前中国人か

ときいてきました

めんどうくさいのでアチョーといっておきました

雲があまりじろじろ見られることに慣れていないから

風速20mの中に消えていきました

ビーチに寝そべっていると

片腕のない男がサーフボードをかかえて

波の様子を眺めています

今日の波はどうなの

とボクは波に乗らないので興味本位できいてみました

片腕の男はサーフボードを浜へ立てながら

どうもこうもないといった身振りをしました

ボクの訛りがひどかったのでうまく伝わらなかったようです

たくさんなくしものをしました

アメックスのカードと

お気に入りの文庫本

彼女のボクに対する興味

共産主義思想と

南の国の6月の海に浮かぶ雲

彼女にたのまれたのでビーチのバーにいって

ソルティードックを2つ買いました

現金が残り少ないのに気づいてまいったなあと思いました

まあここは

南の国の浜辺なんだから

なんとかなるだろうと思って

鼻歌なんかをしながら彼女にそれを渡して隣に腰をかけました

彼女はいいました

「今晩はお肉が食べたい
 とびっきり分厚くてジューシーでパイナップルがのっかっていないやつ」

そうだよな

6月の海の雲をないものにするよりは

よっぽどたやすくできることだと思う

彼女のちょっとした我儘はとてもかわいらしく思えました

キミは南の国の浜辺で小麦色になって

ソルティードックを飲んでいたんだよ

たまには思い出してよね

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