言語の螺旋

言語の螺旋
陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2012年3月14日水曜日

詩「うっかり昼寝」


「うっかり昼寝」

夜の帳が降りてから

皮のコートとマフラー

ズボンは2本履いている

空、野

鑑みられる視線に気づくのは

きまっていつも

そこに泰然として穿たれた星の数

ではなく

広域帯電波電信通信塔ののかった

関西中国地方独特独自に根ざした宗教組織のビルがあり

毎夜涅槃

金色の鬼瓦、キミ怯む

いつものとおり背を丸めて怯える

勇気と無謀の違いを懇切丁寧に説明してあげていると大乗仏教と小乗仏教のはなしになった蓮の花がひらく件がおかしくって

笑った

白い息が浮かんだ

キミはそのゆくえを追っている優しい娘なんだから

きっと明けの朝は晴れ

果てのない熱対流の移動のはざまで無言

いわずもがな分厚い手袋の指が不器用に絡まる

上天から舞い降りてきた聖なる羽の生えたコドモにケッタイなことをするなと指摘されることもなく

正しい両の手の合わせかたを指導されることもない

なんといっても全世界中にこだまする飢えや、嫉みや、にくしみひいては殺意の中では

この地球今日街頭のしたでよりそい体温をできるかぎり逃さないために歩くという行為は

磯、岩、打ち寄せる壁、残波、イスラマバードで海に生えた藻をつついたら大きく口を開いてエゴと理念をアピールするタイの一種のナワバリ争い、と同等、げに値せず

諌止うっちゃり

ふとキミ

頭部に

柊に似た葉があるよついてるよと告げると、マンガのように背を向けた

そっちじゃァない、こっちだよ、と、また、マンガのようにつぶやくと

正面を向けた虹彩が赤いセルロイドの置物のようにのようにきらめいた

手袋を難技しながら脱いで後ろ髪からとってあげた

なにやら平たい茶色の葉っぱの断片

手の平にのせて二人がのぞきこんだらみえていたのになくなった

背を反らせてハーピーのような姿勢

君はみる

『ハッパ』
『公園?』
『ウウン』
『なに?』
『寝袋デねテタ』

―――するとあれだいつぞやボクがさまよった、夏日、雨中、樹上のくぼみ、セキレイ、よく名の知れない得体の知れない綺麗な茸の群生地、毛布じゃ足りない、夜露、バス停のベンチで固まった背中、地図上ではみえない土産物屋の下卑た図々しさ、うっすらとみえる現し世の文化と国語が違う曖昧な国境を、波打つ島を、港湾を、その朽ち割れたセメントの防波堤を、銀にきらめく小魚の群れを

たぐりよせた

ということだ

『ゴーグルプラスだ』

『ウン』

共有なんて言葉馴れ馴れしくって好きじゃないから利用しないけれども

思わぬところで繋がった

フクロウの声は聴こえない

クルーザーでシャンパン飲みながらイルカの群れの秩序も好奇にしない

沼の深さ測りかねて遠まわりを考えてお湯を沸かしてラーメンを作りゃぁしない

錆びたナイフの背で背中のブヨに噛まれたあとを掻いてあがいたりしない

―――今夜はキミの手袋を

これまた手こずりながらもんどりうって脱がせたら

素手と素手で握り合っていうから

『ツメタイヨ』
『帰ったら雑炊作るから』
『カライノ嫌』
『ハラペーニョいれないから』
『モウネムイ』
『昼寝したでしょ』

空間に次々、次、次、次

浮かぶ白い息たなびき消えた

今の角度からは深い茶色にみえた目の先

新聞配達の4サイクルエンジンの音、軋むブレーキ、高い音

今目の前でうつむいて睫毛だけ敏感、ありがとう

お告げ、舞い降りるのをためらってくれてありがとう

森を刈り大地を埋めて、長い細い舗装路にしてくれてありがとう

隣人、夜半にあまりにもひどくうるさくしてくれてありがとう

ガスファンヒーター、想像以上の利用料金の請求、ありがとう

荒野に


一輪

一仭の風

外套

村を捨て

でたらめに街で暮らす大人たち

哄笑

毎夜律儀に南中に鎮座まします狩りのヒト

ありがとう

written by 蟲士 12.03.11


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