言語の螺旋

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陰陽五行でいうところの水の流れがいいところ

2013年1月19日土曜日

オマジュ0 land mine「パン釜のび哀歌」創作詩



「パン、釜のび哀歌」

これはパンのひきつりです
伸びることができなかったころの
ひきつりきった喘ぎです
腸がよじれるなんていいますが
腹よじれることすらままならなかったところの突張りです
勢いのよい膨張具合を目ざとく亡きものにしようとした逃げどころのないストレスです
それらの辛さの滞りなのです

パンは話します
どうりで皮が張ってしまったよ
いじりたおさないでくれよ、と
いじってそのままになどしないでおいてくれよ、と
ひきつってしまったよ
もんどりうってしまったのだよ
紫路の痣やこむらかえり、黄疸赤疸、ひどい血豆などができたら、あんたなら悲しかろうさ
みてごらんよ
白い肌だよ
つるっとした張りのあったはずの薄い膜だよ
ひっぱりきってプルンプルンの肌なのだよ
くたびれてしまったよ
くたびれきってしまったのだよ、と

パン生地がくたびれきったところにさらなる打撃を加えるような人間になどはなりたくないので

大くの

散りゆくヒト
銀河恒星批准生命体羅列数多戦場血潮血飛沫血風吹いた
いけなる子ども
震える目
未然
晴れやかなることのない午後陽光
昼下がる樹木の下の陽光
無惨
熱帯林密集するところのこんがらがったブービートラップ
住宅脇キビ畑ならばばらまいたプラスチック製地べたはらばいつつ除けるもの

踏んでみろよ
踏んでみてみろよ
持ってきてからばらまいてみせたんだから
踏むこともだってできるよね?
造作無いよね?
朝ごはんの前だよね?

大きなボールにそっと手をさしいれてからいかにこねまわさないかが問われつつパン。
そのパンといわれる食べ物になれればいいななんて少なからぬパンとしての期待、パンへのいたわり、パンからの命乞い
いたぶりない加減にて焼きたてをさしだす
はら
ほら
笑んでみ?
あけっぴろげなく広げた口から
スキッ歯
満面顔ほころんで
くれたら
完了す
推量などではなく
物申す
それは
腹よじれることすらできなかった
ひきつりです
いじょうの一糸羅列もんどりうち具合は
パンのひきつり具合のお|話しです。

奥歯にて噛みしめる喜び未だみない子どもたちとわかちあうこともできたらいいなと思っていたけれども
叶わなかったパンのひきつりのはなしです。

ひっぱりきってからはりさけてみたいなというパンの声がまだします。
<了>
aoyamachusi/wrghout 13.01.19

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